労働基準法 更新しました!

2008/5/8
 第81条 打切補償  行政解釈と参考判例を追加しました。

2008/4/25
 第80条 葬祭料  行政解釈を追加しました。

2008/4/15
 第77条 障害補償  行政解釈を追加しました。
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労働契約法解説のサイトを立ち上げました!


 3月1日に施行された労働契約法を解説するサイトを作りました。
少しずつ更新していきます。

 こちらからどうぞ → http://roudoukeiyakuho.seesaa.net/
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労働基準法改正

2008年3月1日の労働基準法改正を反映させました。

【削除】第18条の2 解雇 

第93条 労働契約との関係
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第1条 労働条件の原則

(労働条件の原則)
第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。


《行政通達  昭和22年9月13日 基発17、 昭和63年3月14日 基発150、昭和63年3月20日 基発151 など 》

 ◆憲法の理念◆

 憲法第25条1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
   ↓
 憲法第27条1項 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
   ↓
 憲法第27条2項 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
   ↓
 これを受けて、労働基準法が制定された。

 ◆労働条件の低下◆

 労働条件の低下が、この法律の基準を理由としているか否かに重点を置いて判断する。
 社会経済情勢が変化したことなど他に決定的な理由がある場合は、本条に抵触するものではない。

☆「うちの就業規則、労基法より優遇しているから、労基法に合わせて厳しくしちゃおう」というのがダメってされてます☆

 ◆女子保護基準の改正と労働条件の改定◆

 昭和61年4月の女子保護基準の改定について労使がこの改正の趣旨に沿って、法律の範囲内で労使の自主的な話し合いによって改定されたものならば、労基法第1条2項との関係で特に問題はない。
  
☆昭和61年4月に女子の労働時間、休日、深夜業、坑内労働、危険有害業務などの女子保護基準が改正されましたが、一定、女子の労働が厳しくなる内容でしたので、この通達が出されました。その他の改正についても、この通達の解釈を準用します。☆
 
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第2条 労働条件の決定

(労働条件の決定)
第2条 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。


 《行政通達 昭和23年7月13日基発1016  昭和63年3月月14日基発150 》

◆ 訓示的な定め ◆

 労働基準法第2条は、労働条件の決定、および、これに伴う両当事者の義務に関する、一般的原則を宣言する規定にとどまる。

☆この条の2項には罰則の定めがありません。そして、この通達で書かれているように「一般的原則を宣言する」という訓示的な定めと解釈されています。ですから義務違反があっても、それは直接この条にかかわる問題ではないとされてます。ですから..↓☆


◆ 法2条と監督機関 ◆

 監督機関は、一般的原則を具体的に適用すべき責務を負う機関ではないので、労働協約、就業規則または労働契約の履行に関する争いについては、それが労働基準法各法条の規定に抵触するものでない限り、監督権行使に類する積極的な措置をなすべきものではない。

☆ですから、監督行政は、労使間が対等じゃないなあ...遵守してないなあ...誠実じゃないなあ...って思っても見て見ぬふりしなさいねって通達に書かれています。☆


◆ 2項に関する争いの処理 ◆

 労働協約、就業規則または労働契約の履行に関する争いについては、当事者間の交渉により、または、あっせん、調停、仲裁などの紛争処理機関、民事裁判所等において、処理されるべきものである。

☆監督署には来ないで出るとこ出て、そっちで争ってねって事です。ちぇっ!うまく逃げられたぁ(`へ´)☆

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第3条 均等待遇

(均等待遇)
第3条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。


《行政通達  昭和22年9月13日基発17 昭和23年6月16日基収1365 昭和63年3月14日基発150 など 》

◆ 信条または社会的身分 ◆

 信条とは、特定の宗教的もしくは政治的信念をいい、社会的身分とは、生来の身分をいうこと。

☆信条とは特定の宗教団体の会員であるとか、特定の政党の党員であるとか、単に特定の宗教を信奉しているとか、特定の政党の政治方針を支持しているなどでも含まれます。また社会的身分とは生まれつきの身分や地位で、人種も該当します。でも、会社の職制上の地位(正社員やパートなど)はここでいう社会的身分とは異なります。(下記の「日本郵便逓送事件」を参照してね)☆

◆ その他の労働条件 ◆

 「その他の労働条件」には解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含む趣旨である。

☆職場における労働者の待遇に関する一切の条件をいいます。ただし、労働者の雇い入れ自体は、労働条件とはいえません。(下記の「三菱樹脂事件」を参照してね)☆


 ◇ 参考判例 ◇  

◇ 日本郵便逓送事件 大阪地裁判平14・5・22 ◇

 雇用期間3ヶ月の有期雇用契約を4年〜8年にわたり更新した労働者が、正社員との賃金格差が存在することの是正を求めた事件で、長期雇用労働者と短期雇用労働者では雇用形態が異なり、賃金制度も異なることを不合理とはいえない等として、請求を棄却。


◇ 三菱樹脂事件 最高裁判昭48・12・12 ◇

 企業者は経済活動の一環として契約締結の自由を有し、いかなる者をいかなる条件で雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定できる。また、企業者が労働者の採否決定に当たり、労働者の思想、信条を調査し、その者からこれに関する報告を求めることも違法でない。

 試用契約の性質について、就業規則の文言、実情、慣行によって判断すべきであるが、本件は、解約権留保付きの雇用契約であり、本採用の拒否は留保解約権の行使、すなわち解雇である。この場合の留保解約権の行使は通常の解雇の場合よりも広い範囲で解雇の自由が認められるとしつつ、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認される場合、すなわち、企業者が採用決定後の調査結果により、または、試用中の勤務状態等により、当初知ることができず、又は知ることが期待できないような事実を知るにいたった場合に、その事実に基づきその者を引き続き雇用することが適当でないと判断することが相当であると認められる場合に行使できる。

 学生時代の政治活動及び団体役員経験を秘匿して採用された者対して試用期間満了直前に本採用拒否を通告したことについて、一定の事実の秘匿を理由とする解雇権の行使が許されるかどうかは、秘匿の事実の有無、程度、その入社後の行動、態度の予測、人物評価への影響、企業の採否決定に有する意義等を考慮する必要が有る等として、「通常の会社では入社試験の際に思想、信条に関する事項を申告させることは公序良俗に反して許されない。」として労働者を勝訴させた控訴審判決を破棄差戻ししたもの。

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第4条 男女同一賃金の原則

(男女同一賃金の原則)
第4条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

《行政通達  昭和22年9月13日基発17  昭和23年12月25日基収4281  昭和25年11月22日婦発311  昭和63年3月14日基発150・婦発47 など 》

◆ 労働基準法第4条の趣旨 ◆

 本条の趣旨は、わが国における従来の国民経済の封建的構造のため、男性労働者に比較して一般に低位であった女性労働者の社会的、経済的地位の向上を、賃金に関する差別待遇の廃止という面から、実現しようとするものである。

◆ 賃金形態の違い ◆

 職務、能率、技能、勤続年数などが同じ場合に、男性は月における労働日数に関係なく一定額の月給が支給されるのに、女性は月に労働日数の多少によってその月の賃金が男性の一定額と異なる場合は、賃金の差別的取扱いに当たる。

☆差別的取扱いに該当する例としては
 ◎ 賃金の額そのものが異なる
 ◎ 賃金体系や賃金形態について異なる取り扱いをする
  ・ 男性のみ住宅手当や家族手当を支給する
  ・ 男性と女性で、額の異なる賃金表を適用すること
  ・ 男性は月給制、女性は日給制とすること
 ◎ 職務、能率、技能などが等しいのに女性の昇給を遅らせる
                         などがあります。☆

◆ 有利に取り扱う場合 ◆

 差別的取扱いをするとは、不利に取り扱う場合の他、有利に取り扱う場合も含む。

◆ 罰則の適用 ◆

 この条に違反して罰則が適用されるのは、実際に差別的取扱いをした場合であって、単に就業規則などに差別的取扱いをする趣旨の定めをもうけただけではその定めは無効となるが、罰則の適用はない。


 ◇ 参考判例 ◇  

◇ 内山工業事件 岡山地裁判平13・12・12 ◇

 男女間に賃金格差が存在する場合には、使用者側でその格差が合理的理由に基づくものであることを示す具体的かつ客観的事実を立証できない限り、その格差は女子であることを理由とした不合理な差別であると推認するのが相当であるとされた例

◇ 内山工業事件 広島高裁判平16・10・28 ◇

 職務の内容に明確な区別がないにもかかわらず、男子と女子に異なる賃金表を適用したことによって、男女間の賃金格差を生じさせたことに合理性はなく、また、基本給をもとに算出・支給された世帯手当、一時金、退職金についても不合理な男女差別があるとした1審判決を維持した。

◇ 京ガス賃金差別事件 京都地裁判平13・9・20 ◇

 原告女性の同年齢・同期入社の男性社員との間の賃金格差は、2人の職務の価値に格別の差はないのであると認定し、この賃金格差は被告会社の不法行為にもとづくものであるとして、損害賠償を認めた判例

◇ 昭和シェル事件 東京地裁判平成15・1・29 ◇

 職能資格制度のもと、男女間に著しい格差があり差別的な取扱いをしているとして、約4500万円の支払いを命じた判例

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第5条 強制労働の禁止

(強制労働の禁止)
第5条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。


《行政通達 昭和22年9月13日基発17 昭和23年3月2日基発381 昭和63年3月14日基発150 など 》
      
◆ 暴行、脅迫、監禁 ◆

 暴行、脅迫、監禁とは、刑法第208条、第222条、第220条の規定と同じである。
   
☆なお脅迫は、積極的言動によって示すものだけではなく暗示も含まれます。☆
   
◆ 精神又は身体の自由を不当に拘束する手段 ◆

 精神又は身体の自由を不当に拘束する手段とは、長期労働契約、労働契約不履行に関する賠償額予定契約、前借金契約、強制貯金のようなものがあり、労働契約に基づく場合でも、労務の提供を要求するに当たり、精神又は身体の自由を不当に拘束する手段を用いて労働を強制した場合には、本条違反になる。
   
☆要は、その手段が正当であるか、不当であるかで判断されます。☆

◆ 懲戒罰 ◆

 就業規則に、社会通念上認められる懲戒罰を規定することは、本条違反とはならない。
 
◆ 意思に反する労働の強制 ◆

 労働者の意思に反して労働を強制するとは、不当な手段を用いることによって、使用者が労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発想を妨げることによって、労働を強制することをいうので、必ずしも労働者が現実に労働することを必要としない。
   
☆強制する行為を禁止しているのが趣旨なので、それによって働かされたかどうかは問題にならないのです。☆

◆ 詐欺の手段 ◆

 詐欺の手段が用いられた場合は、労働者は無意識の状態にあって、意思を抑圧されるものではないから、必ずしも詐欺の手段自体は本条に該当しない。

☆労働者本人が強制されていると思うことが、問題ですから、騙されてることを知らないで喜んで働いている場合は、この条に違反しないのです!☆

  
 ◇ 参考判例 ◇  

 ◇ 日本ポラロイド事件 東京地裁判平15・3・31 ◇

 暴行、脅迫、監禁といった物理的手段のほか、労働者に労務提供に先行して経済的給付を与え、一定期間労働しない場合は当該給付を返還するなどの約定を締結し、一定期間の労働関係の下に拘束するという、いわゆる経済的足止め策(サイニングボーナス)も、不当な拘束手段であるといえるときは労基法5条、6条に反し、当該給付の返還を定める約定は、労基法13条、民法90条により向こうとされた事例。

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第6条 中間搾取の排除

(中間搾取の排除)
第6条 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。


《行政通達 昭和23年3月2日基発381 昭和25年6月1日基収1477 昭和61年6月6日基発333 など 》
      
◆ 何人もの範囲 ◆

 違反行為の主体は、他人の就業に介入して利益を得る第三者であって、「何人も」とは本条の適用を受ける事業主に限定されず、個人、団体または公人、私人とも問わない。したがって公務員であっても、違反行為の主体となる。
   
☆法人(会社など)が「業として」中間搾取をおこなった場合、その法人(会社)のために介入行為をおこなった従業員も処罰されますし、両罰規定に基づき法人自体も処罰されます。☆
   
◆ 業として利益を得る その1 ◆

 業として利益を得るとは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば本条違反になり、主業、副業でおこなうのを問わない。
   
◆ 業として利益を得る その2 ◆

 就業介入の被害にあった労働者が1人であっても、その労働者の労働関係が継続している間に、反復継続して利益を得ていれば、業として利益を得たことになる。
 
◆ 利益とは ◆

 利益とは、手数料、報奨金、金銭以外の財物など、いかなる呼び方であるか問わず、有形か無形かも問わない。使用者より利益を得る場合のみに限らず、労働者または第三者より利益を得る場合も含む。
   
◆ 労働者派遣 ◆

 派遣元による労働者の派遣は、労働関係の外にある第三者が、他人の労働関係に介入するものではなく、中間搾取に該当しない。

☆労働者派遣法で定める労働者派遣は、派遣元と労働者の間の労働契約関係と、派遣先と労働者との間の指揮命令関係を合わせたものが、全体としてその労働者の労働関係になるためです。☆

◆ 労働者供給 ◆

 供給元による労働者の供給は、供給元と労働者との労働関係の外にある第三者である供給元が、他人の労働関係に介入することとなるが、供給元と労働者との間に労働契約関係がある場合については、労働者派遣と同様、供給元は他人の労働関係に介入するものではない。

☆後半の部分は請負のことを言っています。しかしこれを悪用して形式的には請負としておきながら、注文者が請負人の労働者を直接指揮命令するなど実質的に労働者供給とされる形態があります。これが最近話題の偽装請負です。なお労働者供給事業は、職業安定法44条により禁止されていますが、ただし職業安定法45条では、労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料の労働者供給事業をおこなうことは認めています。☆

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第7条 公民権行使の保障

(公民権行使の保障)
第7条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。


《行政通達 昭和22年11月27日基発399 昭和23年10月30日基発1575 昭和63年3月14日基発150 平成17年9月30日基発0930006 など 》
      
◆ 公民としての権利 ◆

 公民としての権利とは
  ○ 法令に根拠を有する公職の選挙・被選挙権
  ○ 最高裁判所裁判官の国民審査
  ○ 一の地方公共団体のみに適用される特別法の住民投票
  ○ 憲法改正の国民投票
  ○ 地方自治法による住民の直接請求
  ○ 選挙人名簿の登録の申し出
 の、国家または公共団体の公務に参加する権利をいうが、訴権の行使は一般には公民としての権利の行使ではないが、民衆訴訟、選挙人名簿に関する訴訟、選挙または当選に関する訴訟は、公民権の行使に該当する。 
     
☆訴権とは、訴訟を提起して具体的事件について訴訟手続きによって判断をして貰うことを請求する権利ですが、公民の公務に参与する権利ではないと考えられており、公民権の行使に含まれていません。☆
   
◆ 公の職務 ◆

 公の職務とは、法令に根拠を有するものに限られるが、法令に基づくすべてをいうのものではなく
  ○ 衆議院議員その他の議員
  ○ 労働委員会の議員
  ○ 陪審員
  ○ 検察審査員
  ○ 労働審判員
  ○ 裁判員
  ○ 訴訟法上の証人
  ○ 労働委員会の証人
  ○ 選挙立会人
などをいうものであるが、単に労務の提供を主たる目的とする職務は含まれず、予備自衛官が防衛招集または訓練招集に応ずるなどは、公の職務に該当しない。
   
☆非常勤の消防団員の職務も公の職務に含まれないと解釈されています。☆

◆ 公民権行使の時間の給与 ◆

 労働者に必要な時間を与えた場合、その時間の給与を、有給にするか無給にするかは、当事者の自由である。
 
◆ 定めがある場合の選挙権の行使 ◆

 公民権行使を労働時間外に実施すべき旨を定めたことにより、労働者が就業時間中に選挙権の行使を請求することを、拒否すれば違法である。
   
☆就業規則などで選挙権行使を、原則的に就業時間外に実施すべきなどと決めても、請求があれば、使用者は応じなければなりません。就業規則より、労働基準法の法が、優位法になるからです。☆


 ◇ 参考判例 ◇  

 ◇ 十和田観光電鉄事件 最高裁小判昭38・6・21 ◇

 従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇する旨の就業規則条項は、労働基準法第七条の規定の趣旨に反し無効であると解すべきであるとされた事例。

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第8条

第8条 削除
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第9条 定義

(定義)
第9条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。


《行政通達 昭和22年11月27日基発400 昭和23年1月9日基発13 昭和23年1月9日基収14 昭和23年1月9日基発14 昭和23年3月17日基発461 昭和23年12月25日基収4281 昭和24年6月24日基発648 昭和25年11月1日婦発291 昭和57年2月19日基発121 昭和63年3月14日基発150 など 》

◆ 法人の役員 その1 ◆

 法人・団体・組合の代表者又は執行機関たる者のように、事業主体との関係において、使用従属の関係に立たない者は労働者ではない。


◆ 法人の役員 その2 ◆

 法人の重役などで業務執行権又は代表権を持たない者が、工場長、部長の職にあって、賃金を受ける場合は、その限りにおいて法9条に規定する労働者である。

☆取締役とかの肩書きが付いていても実質的に労働者と同じような扱いを受けていたら 労働者だと判断します。☆


◆ 請負と労働関係 ◆

 請負人は、その仕事を自己の業務として、注文主から独立して処理するもので、たとえ本人が労働に従事することがあっても、この条の労働者とはならない。


◆ 新聞配達人 ◆

 配達部数に応じて報酬を与えているのは、単に賃金の支払い形態が請負制になっているだけであって、一般に販売店と配達人の間には、使用従属関係が存在する場合が通例である。

☆請負の場合の労働関係は、
 ・請負人が独立の事業主として事業計画、損益計算、危険負担の主体となっているか
 ・業務の遂行について他から指揮監督を受けていないか
 ・器具資材などの調達は誰が当たっているか
 で、判断しますので、新聞配達人は労働者ですが、建物などを大工さんに修理をさせ る場合などは一般には請負契約に寄りますので、大工さんは労働者になりません。☆


◆ 学生 その1 ◆

 商船大学および商船高等専門学校の実習生について、一般に実習の委託を受けた事業場との関係において、原則として労働者ではない。

☆学業の過程で実習などに従事しても、それをもって労働者とは扱いません。☆


◆ 学生 その2 ◆

 看護師養成所の生徒について、一般的には労働者ではないが、実習に当たって、一般の看護師と同様に勤務させる実態があれば労働者である。
   
☆看護学校に入学すると同時に医療機関に就職するという形体がよくみられますが、そ の場合は、医療機関で働いている部分だけは労働者です。研修医については下記の判例を参考にしてください。☆

◆ 労働者とされたその他の事例 ◆

 ☆NHKの管弦楽団・合唱団・劇団などの各団員☆
 ☆市町村の固定資産評価員☆
 ☆あんま・はり・灸治療病院に待機しているあんま師・はり師・灸師など☆
 ☆「鳥獣保護および狩猟に関する法律」に基づき特別職の地方公務員として採用された鳥獣保護員☆

◆ 労働者ではないとされたその他の事例 ◆

 ☆刑務所から受刑者の労務提供を受け河川工事に就労される場合の受刑者☆
 ☆市町村の非常勤の消防団員☆
 ☆競輪の選手☆
 ☆労働委員会の委員☆
 ☆宗教上の儀式・布教などに従事する者☆
 ☆僧職者などで修行中の者☆
 ☆信者であって何の給与も受けずに奉仕する者☆
 ☆家庭裁判所により補導を委託された施設、団体または個人の施設内で作業に従事する少年☆


 ◇ 参考判例 ◇

◇ NHK盛岡放送局(受信料集金等受託者)事件 仙台高裁判平16・9・29 ◇

 本件契約が労働契約としての性質を有しているかどうかは、本件契約の内容を実態に 即して合理的に解釈した場合、契約当事者間に指揮監督を中核とする使用従属関係が認められるか否かによって判断するのが相当である。  労働関係を規律する根本規範とも言うべき就業規則が適用されないこと、業務遂行に ついての時間・場所・方法等は受託者の自由裁量に委ねられYからの拘束を受けることはないこと、委託業務はあらかじめ契約によって具体的に規定されていること、受託者 が契約外の業務をするようYから指揮命令を受けることは想定されていないしそのような指示や依頼は拒否できること、受託者の報酬にはYの職員給与規程は適用されず出来 高方式が基本とされていること、報酬の税法上の区分は事業所得であること、受託者は業務の再委託や兼業が自由であること、といった事情に照らして考えれば,本件契約 は、XらとYとの間の使用従属関係を規定する性質のものではないため,本件契約は労働契約の内容を有するものと認めることはできず、むしろ、本件契約は(準)委任契約 と請負契約の混合契約とでも言うべき性質のものと解される。

 ◇ 関西医科大学付属病院研修医賃金請求事件 最小裁判平17・6・3 ◇

 医師法(平成11年法律第160号による改正前のもの)16条の2第1項所定の臨床研修として 病院において研修プログラムに従い臨床研修指導医の指導の下に医療行為等に従事する 医師は,病院の開設者の指揮監督の下にこれを行ったと評価することができる限り,労 働基準法(平成10年法律第112号による改正前のもの)9条所定の労働者に当たる。

 ◇ 中部日本放送事件 最小裁判昭51・05・06 ◇

 民間放送会社とその放送管弦楽団員との間に締結された放送出演契約において、楽団 員が、会社以外の放送等に出演することが自由とされ、また、会社からの出演発注に応 じなくても当然には契約違反の責任を問われないこととされている場合であつても、会 社が必要とするときは随時その一方的に指定するところによつて楽団員に出演を求める ことができ、楽団員は原則としてこれに応ずべき義務を負うという基本的関係が存在 し、かつ、楽団員の受ける出演報酬が、演奏によつてもたらされる芸術的価値を評価し たものというよりは、むしろ演奏自体の対価とみられるものであるなど判示のような事 情があるときは、楽団員は、労働組合法の適用を受ける労働者にあたる。

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第10条

第10条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。


《行政通達 昭和22年9月13日基発17 昭和61年6月6日基発333 昭和63年3月14日基発150 昭和63年3月26日基発169 など 》

◆ 使用者の定義 ◆

 「使用者」とは本条各法の義務についての履行の責任者をいい、その認定は部長、課長などの形式にとらわれることなく,各事業において、本法各条の義務について、実質的に一定の権限を与えられているか否かによるが、かかる権限が与えられておらず、単に上司の伝達者に過ぎぬ場合は、使用者とはみなされない。

☆実質的な責任者を使用者としていますから、権限と責任をもっていなければ使用者にはなりません。しかし、事項によって権限と責任を与えられていればその事項に関して使用者になったりします。それに一人の者とは限らず、複数の者が該当するときもあります。マクドナルドの店長さんが労働組合を作りましたが、店長がスタッフの人に労基法違反行為を起こしたら、店長が処分されますし、店長が、本社のエラい人に労基法違反行為をされたら、店長は労働者で、本社のエラい人が労基法違反で処分されます。あーややこしい・・・(;^_^A …☆
   

◆ 事務代理の懈怠と罰則の適用について ◆

 法定の規定により事業主などに申請などが義務付けられている場合において、事務代理の委任を受けた社会保険労務士が、その懈怠により当該申請などをおこなわなかった場合には、当該社会保険労務士は、この条でいう「使用者」、および各法令の両罰規定にいう「代理人、使用人その他の従業者」に該当し、社会保険労務士を当該申請などの義務違反の行為者として、各法令の罰則規定および両罰規定に基づき、その責任を問い得るものである。
   
☆事業主が「36協定」の届け出を社労士さんに頼んでいたのに、その社労士さんが労働基準監督署に提出するのを忘れていて、事業主さんが届けてあるものとおもって、従業員に残業をさせて、その事が問題になったときに、その届け出を忘れた社労士さんも、使用者とされて、責任があるよって事です。社労士も責任重大だ。(当たり前か)☆


◆ 出向先と出向労働者との間の労働関係 ◆

 出向先と出向労働者との間に労働契約関係があるかどうかについては、出向先と出向労働者との間の労働関係の実態により

 ○ 出向先が出向労働者に対する指揮命令権を有しているか
 ○ 出向先が賃金の全部又は一部の支払いをしているかどうか
 ○ 出向先の就業規則の適用があるかどうか
 ○ 出向先が独自に出向労働者の労働条件を変更することがあるかどうか
 ○ 出向先において社会・労働保険へ加入しているかどうか

 などを総合的に考え合わせて判断する。

☆在籍型出向の場合には、出向元および出向先の双方に労働契約関係がありますから出向労働者に対する権限と責任は、基本的には出向契約により配分されます。☆


◆ 移籍型出向 ◆

 移籍型出向は、出向先との間にのみ労働契約関係があり、出向元と出向労働者との労働契約関係は終了しているので、出向先についてのみ、法の適用がある。

    
 ◇ 参考判例 ◇  

 ◇ 川岸工業事件 仙台地裁判昭45・3・26 ◇

 親会社(川岸工業)が子会社(仙台川岸工業)の全株式を取得し、全役員を派遣し、工場用地や建物・機械類のほとんどすべてを所有し、子会社は親会社の専属下請として営業を行い、子会社の経営は従業員に対する人事、給与、労務政策の決定に至るまですべてにわたり親会社の現実的統一的指示によってなされていた。したがって、親会社は、子会社の労働者の未払賃金を支払うべきであるとされた事件。


 ◇ 第一交通産業(佐野第一交通)事件 大阪地裁判平15・9・10  ◇

 解散された企業の解散は偽装解散であり、同社との労働関係は実質的に同一の企業である開設企業との間にそのまま存続しているものであり、親会社は、両企業の法人格を濫用したものと認められるから、実質的に同一の企業である両企業と同一の責任の負うものと、一応認められ、債権者らは、労働関係上の権利(賃金支払請求権等)を、実質的同一企業の両社に対して請求しても、親会社に対して請求してもよいとされた事件。

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第11条

第11条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。


《行政通達  昭和22年9月13日基発17 昭和22年12月9日基発452 昭和25年12月27日基収3432 昭和26年12月27日基収6126 昭和27年 5月10日基収2162 昭和28年 2月10日基収6212 昭和30年10月10日基発644 昭和36年 5月16日基収7005 昭和55年12月10日基発683 昭和63年3月14日基発150 昭和23年 2月20日基発297 など 》

 ◆賃金とみなさないもの -1- ◆

 労働者から代金を徴収するものは賃金とみなさない。
 しかし、その徴収金額が、実際費用の三分の一であるときは、徴収金額と実際費用の三分の一との差額部分について賃金とみなす。

 ◆賃金とみなさないもの -2- ◆

 労働者の福利厚生施設とみなされるものは、賃金とみなさない。
  
☆労働者が、使用者から受けることが出来る便宜や利益であって、賃金でないもの は、いわゆる福利厚生とされますが、通達では福利厚生施設という用語を用いて います☆

 ◆福利厚生施設◆

 ○住宅の貸与は賃金とみなさい。
 ただし、住宅の貸与を受けない者に、住宅の貸与を受ける者とのバランスから一定額の手当が支給される場合には、住宅貸与の利益が明確に評価されることと なり、貸与を受けない者に支給される手当が支給条件の明確な賃金とされること から、住宅貸与の利益もその評価額については賃金になる。

 ○食事の供与は代金の徴収するしないにかかわらず
   ・食事の供与のために賃金の減額を伴わない
   ・食事の供与が就業規則、労働協約などに定められ、明確な労働条件の内容となっている場合でない
   ・食事の供与による利益の客観的評価額が、社会通念上、ごく僅かなものと 認められる
   の、要件を満たす場合は福利厚生施設として取り扱う。

 ○所得税や社会保険料の本人負担部分を労働者に代わって事業主が負担する場合は賃金とみなす。
 
 ○労働者が任意契約した生命保険料補助金や財形貯蓄奨励金などは、賃金とはみ なされない。

 ◆退職手当◆
 労働協約、就業規則、労働契約等によって、予め支給条件が、明確である場合の退職手当は、法第11条の賃金であり、法第24条第2項の「臨時の賃金等」に当たる。

 ☆これについては、同趣旨の最高裁の判決もあります。なお、使用者が退職手当について定めをする場合には、必ず就業規則に、「適用される労働者の範囲」「退職手当の決定、計算および支払いの方法」「退職手当の支払いの時期」を記載しなければなりません。(−相対的必要記載事項−法第89条1項3号の2)☆

 ◆慶弔見舞金◆

 結婚祝い金、死亡弔慰金、災害見舞金などの恩恵的給付は、原則として賃金とみなさない。
 ただし、結婚手当等であって、労働協約、就業規則、労働契約等によって、予め支給条件の明確なものは賃金とみなす。

☆支給条件が明確にされると、使用者には支払い義務が発生し、労働者には権利として保障されるわけですから、賃金となります。らっきーっ☆

 ◆法を上回る休業補償費◆

 業務上負傷し休業している労働者の休業補償は、平均賃金の100分の60を支払うよう法で規定されているが、これは最低の基準であり、法を上回る制度を設けている場合には、その全額を休業補償としてみるべきなので、法を上回る部分を賃金とみなすことは出来ない。

 ◆役職員交際費◆

 役職員は外部との接触が多く出費がかさむため毎月一定額の役職員交際費を支給している場合、賃金には該当しない。

 ◆作業用品代◆

 使用者の支給する交通従業員の制服、行員の作業着などは、業務上必要な作業備品であり賃金ではないが、労働者持ちの作業用品代として支給されるもの、労働者持ちのチェーンソウの損料として支給されるものも賃金ではない。

 ◆自動車経費◆

 従業員所有の自動車を社用に提供させ、自動車重量税と自動車税の一部を会社負担した場合、その負担は自動車の使用貸借契約における必要経費負担で賃金でなく、社用使用した走行距離に応じたガソリン代を支給した場合、そのガソリン代は実費弁償であり賃金ではない。

 ◆旅費◆

 旅費は、実費弁償であり賃金ではないが、航空機乗務員に支給される乗務手当は、航空機に乗務することによる疲労の防止および回復を図ることを目的とする一種の特殊作業手当の性格を有するから賃金である。

 
◇参考判例◇ S48.01.19 最高裁第二小法廷・判決

一、賃金にあたる退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である。

二、甲会社の被用者で西日本における総責任者の地位にある乙が、退職に際し、賃金にあたる退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合において、乙が退職後ただちに競争会社に就職することが甲に判明しており、また、乙の在職中における経費の使用につき書面上つじつまの合わない点から甲が疑惑をいだいて、その疑惑にかかる損害の一部を填補させる趣旨で退職金債権の放棄を求めた等判示の事情があるときは、右退職金債権放棄の意思表示は、乙の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在したものとして、有効とすべきである。

三、就業規則において支給条件が予め明確に規定され、かつ、使用者が当然に支払義務を負う退職金は、労働基準法11定の賃金に該当し、その支払については、同法24条1項本文の定める全額払の原則の適用がある。
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第12条

第12条 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。
 一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60
 二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

1 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

2 前二項に規定する期間中に、次の各号の一に該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
 一 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
 二 産前産後の女性が第65条の規定によつて休業した期間
 三 使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間
 四 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業(同法第61条第3項(同条第6項から第8項までにおいて準用する場合を含む。)に規定する介護をするための休業を含む。第39条第7項において同じ。)をした期間
 五 試みの使用期間

3 第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。

4 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第一項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

5 雇入後3箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。

6 日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。

7 第一項乃至第六項によつて算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。


《行政通達 昭和22年11月5日基発231 昭和23年11月5日基発232 昭和24年7月13日基収2044 昭和26年11月1日基収169 昭和26年12月27日基収5926 昭和28年10月2日基収3048 昭和39年6月12日基収2316 昭和45年1月22日基収4464 平成12年3月8日基発78 など 》
      
◆ 解雇日を変更した場合の算定事由発生日 ◆

 労働者に解雇の予告をした後、労働者の同意を得て解雇日を変更した場合、平均賃金の起算日は、最初に解雇の予告をした日となる。 
     
☆クビーって言われて、残業頑張ったりしないし、営業の人なんかだったら歩合給とか頑張らないじゃないですか。それなのに、経営者の都合でクビになる日を変えておいて、ガンバらなくなった日の分の賃金を、解雇予告手当の計算に入れられたら嫌ですよね。☆   

◆ 各種手当 ◆

 家族手当と通勤手当は、時間外手当の基礎となる賃金から除外されるが、平均賃金の計算の基礎となる賃金には含め、年次有給休暇の日の賃金も含む。
   
☆法11条の「賃金の定義」(賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。)が、平均賃金の算定の基礎となる賃金です。(平均賃金を算定する場合の分子)☆

◆ 端数処理 ◆

 「賃金の総額」を「その期間の総日数」で除した金額に、銭位未満の端数が生じた場合は、その端数は切り捨てる。
 
☆そして、こうして計算された平均賃金をもとに、実際の手当を支払われた場合は、原則、1円未満の端数を四捨五入します。☆

◆ 複数の賃金締切日 ◆

 基本給と諸手当の締切日が異なるように、賃金ごとに締切日が異なる場合、直前の賃金締切日は、それぞれの各賃金ごとの賃金締切日となる。

☆そして、賃金締切日に平均賃金の算定事由が発生した場合には、直前の賃金締切日から起算します。☆

◆ 計算期間が3か月を超える賃金 ◆

 一人の労働者に対し、3か月を超える計算期間により製品ごとに異なる売上手当が、ほとんど毎月支給されていても、各売上手当の計算期間は3か月を超えているので、平均賃金の算定の基礎に入れる必要はない。 
     
◆ 年俸制の場合 ◆

 いわゆる年俸制が適用される労働者に対し、決定された年俸の17分の1を月例給与として支給し、決定された年俸の17分の5を二分して6月と12月に賞与として支給する場合、6月と12月に支給される賞与は、臨時に支払われる賃金にも、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金にも該当しないと考えられ、6月と12月に支給される賞与部分を含めた、年俸額の12分の1を1か月の賃金として平均賃金を算定する。
   
☆平成12年の通達です。最近、年俸制も増えてきています。従来の賃金制度とは、入り口の考え方が、かなり違いますので、混乱しがちです。人から相談受けたとき、「年俸制」と聞くと、ドキッとして入り口から拒否反応が出ます!(・_・、)☆

◆ 雇い入れ後3か月に満たない者の場合 ◆

 雇い入れ後3か月未満の労働者については、雇い入れ後の期間と、その期間中の賃金で算定することになるが、賃金締切日があるときは、直前の賃金締切日から起算する。ただし、直前の賃金締切日から起算すると、一賃金締切期間に満たなくなる場合には、事由発生の日から計算をおこなう。
 
☆例えば、毎月20日が賃金締切日で、4月1日入社の者が、5月1日に平均賃金を算定する事由が発生した場合、直前の賃金締切日の4月20日から起算した場合、20日しか日数がなく、一賃金締切期間に満たなくなるので、4月1日から算定事由発生日の5月1日までの期間で、算定します。☆

◆ 日日雇い入れられる者 ◆

 日日雇い入れられる者とは、1日単位で雇い入れられる労働者であって、雇い入れが更新されたとしても、日日雇い入れられる者に変わらない。


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第13条 この法律違反の契約

(この法律違反の契約)
第13条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
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第14条 契約期間等

(契約期間等)
第14条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
 一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
 二 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

A 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

B 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。


《行政通達 平成15年10月22日基発1022001 など 》      

◆ 法定期間を超えた契約期間 ◆

 法14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を、締結した場合は違反となり、法14条第1項第1号および第2号の場合は5年、その他のものについては3年となる。 
     
☆たとえば3年でしか契約できない労働者と4年の雇用契約期間で締結した場合、そのこと自体が法違反となり、処罰の対象になり、契約期間は3年と読み替えられます。☆   

◆ 期間の定めのない労働契約 ◆

 使用者が労働者との間に、期間の定めのない労働契約を締結している場合に、当該労働者との間の合意なく、当該労働契約を有期労働契約に変更することはできない。
   
☆この条を理由にして勝手に変更したらダメですよ。(゜ε゜;)☆
 

 ◇ 参考判例 ◇  

 ◇ 東芝柳町工場事件 最高裁小判昭49・7・22 ◇

 電気機器等の製造販売を目的とする会社が、契約期間を2か月と記載してある臨時従業員としての労働契約書を取りかわして入社した臨時工に対し、5回ないし2〜3回にわたつて労働契約の更新を重ねたのちにいわゆる傭止めの意思表示をした場合において、右臨時工が景気の変動による需給にあわせて雇用量の調整をはかる必要から雇用された基幹臨時工であつて、その従事する仕事の種類、内容の点において本工と差異はなく、その採用に際しては会社側に長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があり、会社は必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続をとつていたわけでもなく、また、従来基幹臨時工が二か月の期間満了によつて傭止めされた事例は見当たらず、自ら希望して退職するもののほか、そのほとんどが長期間にわたつて継続雇用されているなど判示の事情があるときは、右傭止めの効力の判断にあたつては、解雇に関する法理を類推すべきであるとされた事例。

 ◇ 日立メディコ事件 最高裁小判昭61・12・4 ◇

 期間の定めのある労働契約の更新拒否について、季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業でない作業に従事し、2か月雇用を五回更新した臨時員の傭止めに当つては解雇の法理が適用さるべきであるが、合理性の有無の判断基準は期間の定めのない労働契約に関するものとは異なるとして、人員削減のための更新拒否が適法と判断された事例。

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第15条 労働条件の明示

(労働条件の明示)
第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

A 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

B 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。


《行政通達 昭和22年9月13日基発17 昭和23年7月20日基収2483 昭和23年11月27日基収3514 昭和51年9月28日基発690 昭和61年6月6日基発333 平成11年1月29日基発45 平成16年3月5日基発0305003  など 》      

◆ 派遣労働者に対する労働条件の明示 ◆

 派遣元の使用者は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により、自己が労働基準法に基づく義務を負わない、労働時間、休憩、休日などを含めて労働基準法第15条による労働条件の明示をする必要がある。

☆派遣元事業主は、労働者と派遣契約に定める就業条件と、この条による労働条件の両方を明示する必要があります。☆

◆ 在宅勤務の場合 ◆

 労働者が情報通信機器を活用して、自宅で業務に従事するいわゆる在宅勤務をおこなわせる場合、就業の場所として、労働者の自宅を明示する。

◆ 賃金に関する書面記載事項 ◆

 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締切・支払いの時期については
  ・基本賃金の額
  ・毎月1回以上、定められた日に支払われる手当の額または支給条件
  ・時間外、休日または深夜労働に対して支払われる割増賃金について特別の割増率を定めている場合にはその率
  ・賃金の締切日および支払日
 を書面に記載して交付するが、この場合、就業規則などの規定とあわせて、理解できるようなものでもさしつかえない。

☆たとえば採用時の辞令などで、賃金等級などを明示する場合には、その等級の賃金がどうなのかを記載した就業規則や賃金規則などを、まえもって労働者に明示しておく必要があります。 
        
◆ 明示すべき内容が膨大な場合 ◆

 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関することについては、勤務の種類ごとの始業・就業の時刻、休日などに関する考え方を示した上、その労働者に適用される就業規則上の関係条項名を、網羅的に示すことで足り、退職に関すること(解雇事由を含む)についても、その労働者に適用される就業規則上の関係条項名を、網羅的に示すことで足りる。

☆明示する内容が膨大なものになる場合は、細かく文書に記載して明示する必要はないのです。☆

◆ 社宅を貸し与える場合 ◆

 社宅を利用することによって得る利益が、法11条に定める賃金となる場合には、社宅を貸し与えることを明示した条件は、賃金、労働時間その他の労働条件となり、社宅を貸し与えることが、たんなる福利厚生の措置とみなされる場合には、賃金、労働時間その他の労働条件には含まれない。

☆本来、住宅の貸与は福利厚生施設となりますが、住宅の貸与を受けない者に対して、貸与された者とのバランスを考えて、一定額の手当を支給されるような場合、その手当は支給条件の明確な賃金となりますので、住宅貸与の利益もその評価額において、賃金であるとされています。☆

◆ 必要な旅費の負担の対象者 ◆

 帰郷とは、労働者が就職するまで住んでいたところに変えることをいい、両親や親族などと一緒に暮らす場合には、それらの者が住んでいたところに帰る場合も含む。

◆ 必要な旅費の範囲 ◆

 必要な旅費には、労働者が帰郷するまでに通常必要とする、すべての費用を含む。

☆具体的には、交通費、食費、宿泊費、家財道具の返還費用、就業のため移転した家族の旅費などをいいます。☆


 ◇ 参考判例 ◇  
        
◇ 東亜ペイント事件 最高裁小判昭61・7・14 ◇

 転勤を命ずるには、就業規則により転勤があるという定めがあることだけでは足りないが、そのような定めがあった上に、大卒幹部社員のように、全社レベルで働くことが期待され、現にそのように全国的に複数の事務所を持って転勤などが行われ、入社時にも特別に勤務地を限っていないというような事情がある場合には、使用者は転勤を命ずることができる。しかし、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではない。転勤命令につき業務上の必要性がない場合、業務上の必要性がある場合でも、その転勤命令が「他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるときは、権利の濫用として無効となる。しかし、「業務上の必要性」の程度は「当該転勤先への異動が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性」は要らず、「労働力の適性配置、業務の能力増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべき」として、権利濫用の成立を否定した。

 ◇ ケンウッド事件 最高裁小判平12・1・28 ◇

 被上告人の就業規則には、「会社は、業務上必要あるとき従業員に異動を命ずる。なお、異動には転勤を伴う場合がある。」との定めがあり、被上告人は、現に従業員の異動を行っている。上告人と被上告人の間の労働契約において就労場所を限定する旨の合意がされたとは認められない。

 被上告人は、個別的同意なしに上告人に対し東京都に所在する企画室から八王子事業所へ転勤を命じて労務の提供を求める権限を有するものというべきである。又、上の必要性があり、これが不当な動機・目的をもってされたものとはいえない。また、これによって上告人が負うことになる不利益は、必ずしも小さくはないが、なお通常甘受すべき程度を著しく超えるとまではいえない。したがって、他に特段の事情のうかがわれない本件においては、本件異動命令が権利の濫用に当たるとはいえないと解するのが相当である。

◇ 新日本製鉄在籍出向事件 最高裁小判平15・4・18 ◇

 在籍したまま出向する場合があることを就業規則で規定し、労働協約でも在籍出向について規定している事案において、「在籍出向といわゆる転籍との本質的な相違は,出向元との労働契約関係が存続しているか否かという点にあるのであるから、出向元との労働契約関係の存続自体が形骸化しているとはいえない本件の場合に、出向期間の長期化をもって直ちに転籍と同視することはできず、これを前提として個別的同意を要する旨をいう論旨は,採用することができない」として、個別的同意なしに在籍出向を命ずることができるとされたもの。

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第16条 賠償予定の禁止

(賠償予定の禁止)
第16条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。


《行政通達  昭和22年9月13日基発17 》

 ◆ 賠償予定の禁止 ◆

 本条は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を禁止することを禁止する趣旨ではない。

☆たとえば、労働契約を結ぶ際に、労働者が労働契約に基づく義務を果たさないために使用者が損害を受けた場合に、その損害額に応じて賠償を請求する契約をすることや労働者の重大な過失により損害が生じた場合に、その損害額に応じて弁償金を徴収することなどは禁止されていません☆


 ◇ 参考判例 ◇  

大日本印刷事件(最小判 昭54・7・20)

一 大学卒業予定者が、企業の求人募集に応募し、その入社試験に合格して採用内定の通知を受け、企業からの求めに応じて、大学卒業のうえは間違いなく入社する旨及び一定の取消事由があるときは採用内定を取り消されても異存がない旨を記載した誓約書を提出し、その後、企業から会社の近況報告その他の。パンフレットの送付を受けたり、企業からの指示による近況報告書を送付したなどのことがあり、他方、企業において、採用内定通知のほかには労働契約締結のための特段の意思表示をすることを予定していなかつたなど、判示の事実関係のもとにおいては、企業の求人募集に対する大学卒業予定者の応募は労働契約の申込であり、これに対する企業の採用内定通知は右申込に対する承諾であつて、誓約書の提出とあいまつて、これにより、大学卒業予定者と企業との間に、就労の始期を大学卒業の直後とし、それまでの問誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したものと認めるのが相当である。

二 企業の留保解約権に基づく大学卒業予定者の採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる。

三 企業が、大学卒業予定者の採用にあたり、当初からその者がグルーミーな印象であるため従業員として不適格であると思いながら、これを打ち消す材料が出るかも知れないとしてその採用を内定し、その後になつて、右不適格性を打ち消す材料が出なかつたとして留保解約権に基づき採用内定を取り消すことは、解約権留保の趣旨、目的に照らして社会通念上相当として是認することができず、解約権の濫用にあたるものとして無効である。

細谷服装事件(最小判 昭35・3・11)

一 使用者が労働基準法第20条所定の予告期間をおかず、また予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は、即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でないかぎり、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、または予告手当の支払をしたときに解雇の効力を生ずるものと解すべきである。

二 労働基準法第114条の附加金支払義務は、使用者が予告手当等を支払わない場合に当然に発生するものではなく、労働者の請求により裁判所がその支払を命ずることによつて、初めて発生するものであるから、使用者に労働基準法第20条の違反があつても、すでに予告手当に相当する金額の支払を完了し、使用者の義務違反の状況が消滅した後においては、労働者は、附加金請求の申立をすることができないものと解すべきである。

◆ 学費や資格取得費用などを使用者が負担したときに関する判例 ◆

サロン・ド・リリー講習手数料請求事件(浦和地判昭61.5.30)

 労働基準法第16条が使用者に対し、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をすることを禁じている趣旨は、右のような契約を許容するとすれば労働者は、違約金又は賠償予定額を支払わされることを虞れ、その自由意思に反して労働関係を継続することを強制されることになりかねないので、右のような契約を禁じこのような事態が生ずることを予め防止するところにあると解されるところ、当該契約がその規定上右違約金又は損害賠償の予定を定めていることが、一見して必ずしも明白でないような場合にあっても、右立法趣旨に実質的に違反するものと認められる場合においては、右契約は同条により無効となるものと解される。

 そして、当該契約が同条に違反するか否かを判断するにあたっては、当該契約の内容及びその実情、使用者の意図、右契約が労働者の心理に及ぼす影響、基本となる労働契約の内容及びこれとの関連性などの観点から総合的に検討する必要がある。

 以上に認定した本件契約の目的、内容、従業員に及ぼす効果、指導の実態、労働契約との関係等の事実関係に照らすと、仮令Xが主張するようにいわゆる一人前の美容師を養成するために多くの時間や費用を要するとしても、本件契約における従業員に対する指導の実態は、いわゆる一般の新入社員教育とさしたる逕庭はなく、右のような負担は、使用者として当然なすべき性質のものであるから、労働契約と離れて本件のような契約をなす合理性は認め難く、しかも、本件契約が講習手数料の支払義務を従業員に課することにより、その自由意思を拘束して退職の自由を奪う性格を有することが明らかであるから、結局、本件契約は、労働基準法第16条に違反する無効なものであるという他はない。


アール企画事件(東京地判平15.3.28)

 経営者と美容師との就業報酬契約は、労働契約に付随して合意された本件特約の債務不履行について違約金を定めたものとして労基法16条違反とされた。

和幸会事件(大阪地判平14.11.1)

 看護学校生の修学資金貸与契約は、原告の経営する病院で就労する事を前提として、将来の労働契約の締結および将来の退職の自由を制限するとともに、看護学校在学中から原告の経営する病院で就労を事実上義務付けるものとして、経済的足止め策の一種であるとして労基法14条および16条違反とされた。


posted by 労組書記長社労士 at | TrackBack(0) | 第2章 労働契約 (13〜23条)

第17条 前借金相殺の禁止

(前借金相殺の禁止)
第17条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。


《行政通達 昭和22年9月13日基発17 昭和23年10月15日基発1510 昭和33年2月13日基発90 昭和63年3月14日基発150  など 》      

◆ 生活資金の貸付に対する返済金 ◆

 使用者が労働組合との労使協定の締結、あるいは労働者からの申し出に基づき、生活必需品の購入などのための生活資金を貸付け、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の原因、期間、金額、金利の有無などを総合的に判断して、労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条の規定に違反しない。

◆ 身分的な拘束がない債権 ◆

 労働者が使用者から、その信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いなどで、身分的な拘束がないと判断されるものは、この場合には専門業務型裁量労働制に該当しないので、労働することを条件とする債権ではない。

posted by 労組書記長社労士 at | TrackBack(0) | 第2章 労働契約 (13〜23条)


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